山爺が幹事となって定期開催している催事が二つある。ひとつは定例ゴルフだがもう一つが高校時代のクラス会幹事だ。幹事長、幹事長と持ち上げられて幹事役を引き受けてから随分と時が過ぎた。コロナにより開催が中断して4年のブランクがあるが12年にもなろうか。
5月半ばのとある夕方、携帯電話のベルが鳴った。送信主を見ると高校時代の友人Oからである。久しぶりだなあ、用件はおおよそ判っている。ちょうどコロナが収まってきた時期でもあり、クラス会参加常連の誰かからいずれ開催の督促が来るかなあとは思っていたが・・・やはり我がクラス会の創建者たるOから来たか。(あるいは誰かがOに相談したのか?)『もしもし元気!』『元気だよ、そちらも元気そうでなにより』形通りの挨拶を交わして話題はクラス会開催の話へ。7月下旬を目安に開催する旨、快く約束して会話を終えた。
さて、4年のブランクだ。友人達も随分くたびれたんだろうなあ、とひとりごちながらPCに向かい開催の計画を練る。
幹事を任された当初は皆さん『幹事長が決めたならどこでも良いよ』と殊勝な風だったが、だんだんと、”鬼怒川は飽きた県外にも行きたいとか、料理がイマイチ、カラオケは?、はては女っけがない”・・・と不満がちらほら。
よって会場は
①エレベータのある大規模旅館
②1次会は宴会場でカラオケつきのちょい豪華食事
③館内のクラブや館外スナックでの2次会
と言うこだわりを盛り込むよう努力した。ただし地域だけは皆さん自家用車相乗りが常なので遠出は避けて地元の温泉を選び続けている。
そうそう、山爺の金科玉条として”金かける行事なら誰でも出来る、同じ遊ぶなら安くあげてなんぼ”がある。だから旅行専業者には絶対に頼らないで自分でHPを検索しまくり経済的な企画を考え続けている。
今回もそれに沿って会場を探したがコロナの4年間で温泉街も随分変わってしまった。これまで低価格を売りにしていた大手の大江戸・伊藤園などが客足が遠のき、経営が苦しくなったのか値上げラッシュ、そして人件費のかかる宴会付きプランが霧消した。(今日日大勢人を集めて宴会なんかやるおめでたい奴はいないのだろう、群れるのは団塊世代の我々ぐらいか?)
2次会場の確保だが館内にあるクラブは無論、館外にあるスナックも次々と閉店している。かつて楽しく利用させてもらった川治・鬼怒川温泉のスナックも軒並み閉店だ。新規にHPで探して何件か電話するも受話器さえ持ち上がらず虚しく呼び出し音が鳴るばかり、だ~めだ、こりゃ。
ようやく、かつて開催した湯西川温泉にあるスナックが営業を続けているようなので予約を入れた。次にすぐそばにある小さな温泉旅館を確保する。なにせ我が同窓生はたった10分でも歩くのが嫌、送迎車を欲しがる。2次会場へ歩いての移動は5分が限度という我がまま揃い。・・・困った連中だ。
今回予約した旅館にエレベータがなさそうだがそこまでは面倒見きれん。少しは歩かんと長生き出来ねえぞ。
6月はじめに開催案内をまとめて往復はがきでめぼしいメンバー宛送付して一段落、返信が来るのを待つ。4~5日すると返信がチラホラと返ってくる。毎日郵便受けを覗いてそれを見るのも楽しみの一つだ。
参加者は山爺含め12名となった。欠席者の中に記憶力の病が1名、病気療養2名、1名が本人は健康でも奥様看病で外出能わずであった。やはり4年のブランクにより状況は大きく変わってきているようだ。
ほかに、山爺が幹事任されてから一度も参加はしなかったがきちんと近況は報告していたT宛のはがきが住所不明で戻ってきた。あれ??・・やがて地元の朋友から彼が数年前に逝去していたことを聞いた、合掌。
今後こんな事態が増えていくのだろうなあ。なんだかなあ、老いてゆくとはなんとも辛く寂しいものだなあ。
宿の様子やら部屋割りを決めて案内書を作成、開催通知を郵送する手はずは整った。旅館とスナックに最終人員の連絡を試みるもスナックのほうが日を分けて何回電話しても応答なし、地元の観光案内に電話して事情を伺いようやくスナックのママさんと連絡が取れた。なんと、スナックのママさん病気を患いお店を3~4ヶ月休むとの回答。うえ~っ、そんな阿呆な。
2次会が開催不可ではこの案件はご破産だ。一から企画の練り直しを強いられる。もう開催まで1ヶ月を切ってしまった、山爺ピ~ンチ。
まずはせっかく受け入れてくれた旅館にコレコレの訳でキャンセル、必ず来年利用させてもらうと謝罪の電話を入れる。
さて、まいったなあ、まいった、”どうする山爺” 家族や友人と言った数人の集まりなら直前でも宿は容易に取れるが10人以上の団体だと平日といえど直前予約は難しいのが常だ。
こうなったら、頼れるところはひとつ、5~6年前に開催した栃木の山奥、K温泉にあるカラオケルーム完備の民宿にするしかないか。電話を入れると幸い希望日から1日ズレたが何とか12人の宿が確保できた。やれやれである。
と、まあ今回のクラス会の開催は人知れない苦労があったのです。幹事はつらいよ。
7月下旬の平日のある日、いつものように茨城の海辺から車ではるばるやって来るOに下今市で便乗させてもらい一路クラス会の会場へ。
細い道をうねうねと走っていると前方に2台の車が走っている。今頃こんな間道を走っているのはわが友らの車と思いきや別の道に去っていった。おや?違う、赤の他人か。
民宿の広い駐車場へ2時40分頃到着。まだほかの連中は来ていない・・と思ったら先ほど別れた車が乗り込んできた。やはり我が友らであった。道間違えたらしい、案内書に地図載せておいたのに見てねえな、間抜け~。
宿のチェックインは3時から、宿の女将との電話予約時に早く着いたら館内ロビーで待たせてと頼んだが『3時過ぎに来てください』と手厳しい返答を頂いている手前まだ館内に入るわけにはいかない。
と、手持ち無沙汰の面々、やおら庭先で立ち飲みを始めた。この宿は飲み物の持ち込み公認なので朋友に途中で飲み物や乾き物でも買ってくるよう頼んでおいたがそれにしてもでっかいクーラーボックスだなあ。それにしてもよその庭先で酒盛り始めるとは、ハレンチ極まりない、ようやるわ。ん!ハレンチって死語か。 (^^♪
ここで山爺、いたずらを思いついた。『全員集合、玄関前から一列に並べ~』と指示。
で、撮ったのがこの一枚だ。名づけて”行列のできる民宿” しかし真剣味が足りないなあ、笑っちゃダメだろう。まあいいか。面白い絵が撮れた。
ようやく3時になったので館内へゾロゾロと入り込む。『こんにちは~』誰も応答がない。そういえば前回来た時もしばらく誰も来なかったなあ。『こんにちはぁ~』連呼すること数回、ようやく宿の人が出てきて受付完了。宿の人から今日の宿泊は我々だけと告げられる。(後で宿から聞いたが団体を入れたらほかの客は断るとか)これはありがたい、お風呂も女湯・男湯自由にどうぞと言われた。
今回は4部屋に3人づつの分宿だ。(2階2部屋・1階2部屋)メンバーの組み合わせはあらかじめ決めてあるので、すんなり各部屋に分かれ取り敢えず解散。
と思うまもなく部屋に集まり積もる話に花が咲く。話といっても、『誰それはどこが悪い』の『あいつは死んだ』の湿っぽい話が多い。まあ歳も歳だからそんな話題が多くなるのも仕方がないか。
退屈しのぎに部屋でカラオケでも、と気を利かせて山爺が持参した携帯カラオケなんか誰も見向きもしない。試運転に山爺が4~5曲歌っただけでマイクは虚しく部屋に転がったままだ。
女風呂をの覗いてみる。女湯と書いた赤い暖簾をくぐるのがなんかこそばゆい。中は誰もいない。女湯に入浴なんて滅多にないチャンスだ、入って見るべい。
大きな湯船を独り占めで庭先の草花眺めながらのんびりと湯に浸かる。『ああ~極楽・極楽』
さて、お待ちかねの夕食だ。大広間の食堂に全員集合。食事前に全員参加の記念撮影。リモコンモードで何枚も撮ったが1人だけ1度もレンズに顔を向けない奴がいた。Nだ、この男はどうも人の話をよく聴かない?
過去の記録を見ても皆んながレンズに集中していても1人よそ見で写っていることが多い。それともリモコンの仕組みが理解出来なかったのかなあ?(山爺がこちらにいるうちは撮れないだろうと勝手に思う)囲炉裏には数々の珍味が刺さり竹筒に入った日本酒、はては自家製?どぶろくまで宿の心のこもったもてなしがずらりと並ぶ。しかしながらすでに道中呑んだり食ったりしている連中なのでなかなか食が進まない。だからぁ~食前の喫食はほどほどにといつも言ってるだろうが・・・
過去に開催した夕食時飲み放題プランの宿でもいざ飲み放題の時間になるころにはほとんど飲めなくなり宿の大儲けといった事態が何回もあった。本当に懲りない愉快な仲間だ。まあ、今日は家族が運営する宿なのでのんびりやるさ。それにしても随分と出来上がってきたぞ。このあとのカラオケは大丈夫だろうか。
食事も終えてカラオケルームに移動する。
さすがは我が朋友達だ。1人の落伍者もなく全員2次会に集合。団塊世代恐るべし。部屋の真ん中に大きなクーラーボックスをで~んと据えて2次会の始まり、始まりぃ~。っていくら持ち込み自由といって少しは遠慮せんかい。何なんだこのBoxは。幹事としてちょい恥ずいわ。携帯カラオケでは誰も歌わなかったが本格設備だと歌うわ、歌うわ。我が友たちの芸達者振りは健在だった。
しかしながらいつもと違う現象が・・始まって1時間も過ぎた頃、1人抜け、2人抜け、空席が目立つようになってきた。歌もまばらになり沈黙が訪れはじめた。とうとう1時間30分を待たずして2次会の終焉となってしまった。これまでは時間が足らず選曲待ちの状態で終わることが多々だったのが一体どうしたことだ。
これが加齢によるものか、女っけゼロに起因するものか山爺にはとんと分からないが、たぶん後者が原因だと山爺は思っている。なにせ現金な面々だから聞き手、特に女子がいないと張り合いをなくすのだろう。我が朋友達は色即是空の境地に未だ到達していないようだ。喝ぁ~っ!!9時過ぎにはめいめいが部屋に戻りあっという間にご就寝。う~ん、わがクラス会も変わったなあ。歳のせいか、宿のせいかどちらなんだろう。
早寝したせいか翌朝は全員元気に朝食を食べている。これまではビール飲みながら朝食を摂る猛者がいたが今日は皆さん品行よろしく良い子の食事を実践している。
最後にいつもの通り宿を背景に記念撮影し来年も元気で会おうと約束して解散・・・となるわけであるが今年は違った。今回の会合はコロナがらみの栃木県旅行支援キャンペーン(県民割り)の期間中だったのでその恩恵にあずかった。支援内容は宿代の2割り負担(20%引き)+地域振興クーポン券¥2000支給だ。
おかげで宿の支払いに余裕が出たので皆さんに¥2000返金することが出来た。
そして地域振興クーポンの¥2000、これは今日中に使わなければならない決めがある。
これを使うべく大笹牧場へ全員でGo。牧場で各自お土産を真摯に物色、クーポン券の範囲内で買い物を済ませる賢い人、倍以上も購入し大散在する人、和気藹々のうちに23年度のクラス会は過ぎてゆく。
【川柳】
・持ち込みの 加減が分からぬ 団塊人
・加齢なる 同窓 病気が自慢なり
・只クーポン 持て余してや 大散財
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