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2019年5月1日水曜日

奥多摩、浅間嶺トレッキング


毎年3月末~4月になると那須にある朝日岳に行きたくなる。とにかく残雪期の朝日岳は理屈抜きにカッコ良いのだ。

那須連山はアプローチが短く冬季でも短時間で山頂を極められることが出来たので20代初~30代後半までは毎年のように3月下旬から4月の初めにかけて入山した。登頂後、反対側にある秘湯三斗小屋温泉大黒屋に宿泊するのも楽しみの一つだった。



一昨年も計画したのだが寸前の降雪で取りやめた。この時降った雪により栃木県高野連主催の冬山教室の面々が茶臼岳山麓で雪上訓練中に雪崩に巻き込まれ教師1名高校生7名が亡くなったことは記憶に新しい。

今年も4月上旬に行こうと思っていた矢先の4月10日、季節外れの30cmもの降雪があり様子見を余儀なくされた。

その後も天候が安定せず20日以降になっても天候不順で風速20mの予報まで出る始末。('`ァ'`)  .  。o  (ダメだこりゃww)

北関東から東北地方南部あたりで冬将軍と小笠原軍団が激突し激戦中によりその近辺は大荒れの模様だ。

だが南関東は移動性高気圧の傘下に入りそうで27日(土)は天候が回復するとの天気予報だった。

そこで予定変更、奥多摩にでも行くか。単独企画の強みで、あっと言う間に山の技量ランクを数段下げて奥多摩の浅間嶺に目標を変えた。





新宿駅7時44分発のホリデー3号に乗車すべく6時に家を出た。

新宿駅7時25分着、11番ホームに上がると、既に電車は入線していた。さすがは大都会で登山者がウヨウヨいる。あっと言う間に座席が埋まってしまった。



ここから終点の武蔵五日市駅まで1時間弱、奥多摩はやはり東京都の庭みたいに近いのだ。混雑するのもうなづける。

五日市駅に降り立つのは初めてである。しょぼい小さな駅を連想していたがとんでもない。大きな駅だ。

ここから数馬行のバスに乗るのだがその前に小用を足そうと思ってトイレに向かうが、なんと男子トイレは長蛇の列でトイレからはみ出て外にまで並んでいる始末だ。とても待ってなんかいられない。バスが出ちまうではないか。

小用あきらめて表に出てまたまた驚いた。バス待ちで既にざっと40人は並んでいる。わ~っ、これじゃ乗り切れない。係員がなにやらカウンターで人数をチェックしている。『ここからあとは臨時便が出ますのでしばらくお待ちください』と我々に向かって告げた。

なんという雑踏ぶりだ。山爺がよく行く秩父や足利、栃木の山など駅を降りると登山者数人だけなどとは大違いで田舎もんは戸惑うばかりだ。都内の人は山に行くのも大変だねえ。同情します。

やがて定期便と臨時便が同時にバズ停留所にやってきて全員を収容し出発した。目指すは浅間嶺登山口、およそ45分の乗車だ。

天候はイマイチだが雨は降っていない。バスはグングン高度を上げて進んでゆく。

無事、登山口まで運んでもらい下車してみたら驚いた。雨がざあざあ降っているではないか。

天気予報では9時頃にはあがり午後は晴れるとの予報だったが見事に外れた。予想より寒冷前線が進出し奥多摩の上まで来てしまったようだ。 






さて、行こうか、帰ろうかバス停でしばらく悩みながら様子を見た。

帰るといってもすぐにはバス便がない。30分も待っていると雨も徐々に小止みとなりあまり気にならない程度の降りとなった。

仕方がないからスパッツ、簡易雨具を装着し傘をさしていざ出発。こんな装備で歩くのは久方ぶりである。

1時間も歩いたところで数馬峠到着。雨はポツリポツリに変わり樹林帯なので全然気にならなくなった。やれやれだ。

この道は古来より大菩薩峠を経て甲州に抜ける古道だったそうです。道理で道幅が広いし時々道祖神や野仏、祠が現れる。納得です。


【山爺の一言メモ】

浅間尾根は古来より武蔵国と甲斐国を結んだ交易ルートで尾根コースと沢コースの二つがあり沢コースが現在では主要道路になっています。明治以前は尾根コースが主要道だったそうです。なぜか?、沢コースは度々洪水による土砂崩れで復旧に手間取るからです。





猿岩と呼ばれる大きな岩の塊を通過します。古人も道中こんなところが距離の目安となり休憩ポイントになったんでしょうね。





左、藤間バス停の表示がありますがロープが張られて侵入禁止とされています。荒れているので廃道になっているのかも。(地図上では破線:荒れ道として表示)








 ようやく左側の展望が開けました。数年前に登った大岳山が望めました。

大岳山は御岳山経由だとケーブルカーを利用出来るので家族連れに人気があります。





 尾根道には随所に山吹が咲いていました。古人が道中の慰みにと植えたのでしょうか。それとも自生しているのかなあ。

山吹といえば思い出すのが太田道灌ゆかりのこの1句です。




・七重八重、花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき ご存知太田道灌が歌人として目覚めるきっかけとなった有名な歌で皆さんご存じですよね。 【山爺の一言メモ】

若き日の太田道灌が蓑を借りるべくある小屋に入ったところ、若い女が何も言わず山吹の花一枝を差し出したので、道灌は怒って帰宅した。後に山吹には「七重八重花は咲けども山吹のみのひとつだになきぞ悲しき」の意が託されていたのだと教えられ無学を恥じたという有名な話が『常山紀談』

山吹は、花は咲くけれど結実しないことと蓑がないことをかけた洒落ですが調べてみると八重山吹は確かに結実しないんだそうです。でも、写真左の一重山吹は結実するんだそうです。だから一重山吹を差し出してこの歌を読むと詠み人の方が笑われるので要注意です。・・今の世にそんな洒落人はいないか?( ^ω^)



それからこの句をもじった有名な狂歌もご紹介しておきます。
・2つ3つ 音はすれども 空吹きの 実の一つだに 出ぬぞ悲しき

ユーモア溢れたすばらしい句です。山爺もこんな発句が出来るようになりたいものです

また大きな山が見えました。(右画像)たぶん御前山です。山頂付近に綺麗な避難小屋があるので一度は訪れたいと密かに思ってます。東京都はお金持ちですから奥多摩の随所にトイレ付きで手入れの行き届いた避難小屋がたくさんあります。なんたったって宿泊費無料というのが魅力です。

人里峠というポイント通過です。へんほり峠と読みます。

どんな伝承があるのでしょうか。珍しい読み方です。

道が尾根経由と迂回路に分かれた地点に来ました。


迂回路を選べば楽なのですが下手打つとそのまま里に降りてしまう場合があります。尾根コースを選択し進みます。

 一つのピークを越えました。小さな祠がありましたが展望がなくて何の標識もありません。




写真一枚を撮って通過してしまいましたが後でここが浅間嶺山頂903mであることがわかりました。

東屋に到着しました。すぐそこに何か古墳状の丘が見えます。あれが山頂だろうと勝手に思い込みました。

時刻は13時30分、腹も減ってきたので登る前に昼食を採ることにしよう。

今日は定番のサンドイッチ・おにぎりではなくドライフードのえびピラフを持ってきました。お湯を注ぎ待つこと15分・・実際は10分くらいで待ちきれなく食べ始めたのでリゾットみたいでしたが、これがなかなかイケる。旨いのなんのって。

腹もいっぱいになったのでいよいよ浅間嶺山頂に向け最後の頑張りです。

ついに山頂に到着と勝手に思い記念撮影。なんかおかしい?

山頂なら普通標高が明記されているのに何も書いていない。地図を引っ張り出して現在位置を確認する。

おやあ、地図によれば山頂は昼食をとった場所の西側になってます。今いるところは東側で地図には”展望がよい”と注記がしてあります。

さては昼食前に通過した祠があった場所が山頂だったのか、なら標識を立てておけば良いものを・・それとも見落としたのかなあ。今更戻る元気はありません。なんとも無様な初登頂になってしまったものです。

まあ、それにしても展望は良好です。手前左の大きな山が御前山、右後方(葉っの下)が大岳山です。

周囲は山桜?がたくさん咲いて誠に綺麗な眺めです。




これで晴天なら綺麗な絵が手に入ったはずですが、今日はあいにくの曇天なので発色がイマイチで皆さんに感動が伝わらないのが残念です。




もう時間も午後2時を回りました。予定の檜原村に下るには後2時間以上は有にかかりそうです。天候の回復は望めそうにないので予定変更、上川乗のバス停方向に降りることにしました。そこならここから1時間もみれば下山できます。

早速下山開始、下りは快適に足が出ます。途中草花に慰められながら1時間でバス停に到着しました。

山爺は草花は好きなのですが、自分で育てるほどではありません。なんの花なのか知識に乏しい。上の画像はイカリソウの仲間でしょうか。左画像はタイツリソウかなあ?


 大きな構えの家が見えてきました。バス停に無事到着しました。バスは20分後に来ます。雨具やスパッツ類を片付けるにはちょうど良い時間です。

ほどなくバスがやってきたので乗り込もうとすると満員で立っている人までいます。うわ~やはり秩父や足利とは違います。乗ろうとすると運転手からアナウンスがあった。

『このあと続いて臨時バスが来ますのでそちらご利用ください』

素直にそれに従うとすぐに次のバスが来ました。すごいなあ、さすがは奥多摩だ。乗り込んでみると乗客はまばらで座席が有り余ってます。つかれた体にはありがたい状況でした。

今日はもうひとつの楽しみがあります。

帰路途中に瀬音の湯という温泉施設があります。そこに立ち寄るつもりです。

この温泉は知る人ぞ知る、全国でも指折りの美肌の湯(アルカリ泉)なのです。これは是非とも体験しなければです。

地下1500mから汲み上げたアルカリ泉でPHは10.4だそうです。10.4は凄いなあ。目に入ったら角膜溶けてしまうのでは、大丈夫なんだろうか?

十里木というバス停で途中下車し吊り橋わたって5分もすると温泉施設に着きました。おお!、足湯まであります。この辺一帯はキャンプ場やらコテージやらがあり総合リゾート地になっているようです。多くの人が出入りして大変雑踏をしています。

入湯料¥900を支払い早速、湯船にざぶん!ややや、体がぬるぬるします。それも半端ではありません。山爺は長いこと温泉巡りをしていますがこんな体験は初めてです。10分も入っていると体が溶けきってしまうのではないかという錯覚にとらわれます。

露天風呂にも入ってみよう。ん、ん!こちらのほうがやや溶け具合が弱いかなあ。

温泉を堪能したあとはお決まりのビールです。湯上りのあとのビールのうまいことと言ったら、なんて表現してよいか分かりません。ましてや散々山歩きをした後ですから。

大酒豪だった若山牧水の歌にこんな歌があり山爺の好きな句の一つです。

・それほどに うまきかとひとの問ひたらば 何と答へむこの酒の味
・白玉の 齒にしみとほる秋の夜の 酒は靜かに飮むべかりけり

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