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2023年7月19日水曜日

寅さんの故郷、葛飾柴又を歩いてみる

 なかなか梅雨が明けず、その割には38℃超えの猛暑が日本全国を襲う。さらに十数年前には耳にしなかった線状降水帯なる気象現象が日本海沿いを北上し各地で被害が起きている。我が国に何が起きようとしているのだろう。

一昔前なら7月中旬以降梅雨が明けて夏山シーズンの開幕だが今はどうだろう。2000m級の山でも酷暑による熱中症が心配で夏山に出かけるのは剣呑だ。

さりとて連日家に閉じこもってじっとしていたのでは山爺の身体が退化するばかりだ。どこかに出かけねばという恐怖観念に囚われる。囚われる・・とら・・寅さん、そうだ、葛飾柴又の帝釈天にでも行ってみるか。(^^♪


山田洋次監督の『男はつらいよ』シリーズが面白くて仕方がない。どの作品も3回以上は見ているだろう。この映画はもはや古典落語と化している。笑いどころがあらかじめ分かっているのだ。来るぞ、来るぞ、来た~『アハハ!』とこうなる。

柴又の地理は我が子達が幼い頃家族で一度訪れているので概ね分かっている。

映画のプロローグは決まって寅さんがくるまやに帰ってくるシーンから始まるのだが、ここで疑問。


柴又駅から寅さんが最短で歩いてくればくるまやの中から見た場合左側から来るはずなのに必ず帝釈天方向から来るのだ。地形から推察するに江戸川の土手を散策し次に帝釈天前をチラ見してくるまや到着と遠回りして帰ってくる。なぜ?やはり小さい頃遊んだ場所やら故郷が懐かしく大回りする設定なのだろうか。

そういえば山爺もたまに実家のT市に帰る場合、駅降りてから大回りして市内を懐かしんで散策しながら帰ることがある。あれとおんなじだ。山田監督、やはり芸が細かい。

我が家を出て東武線牛田駅で京成線に乗り換え高砂駅へ、ここで金町線に乗り換えようやく柴又駅へ着いた。金町線は都内では珍しい単線、柴又は都内にある田舎と言っていいだろう。

寅さんが旅に出るとき今は存在していないがJR上野駅構内の食堂がよく出てくるが柴又駅から上野への直通便はない。さくらと別れてからどんな風に乗り継ぐのか考えてみた。

寅さん、さくらと別れて感傷に浸る暇もなく高砂駅で乗り換えなければならない。京成本線で京成上野駅へ、ここから地下道を通ってJR上野駅に向かう。そして切符を買って帽子に挟んでから構内食堂で寺男の源ちゃんと腹ごしらえ、とこうなるはずだ。途中日暮里駅で山手線に乗り換える手もあるがそれではそのまま旅立つことになり構内の食堂には入れない。

京成上野駅の裏手に食堂が沢山あるので普通はそちらを利用したほうが良さそうだが京成上野駅はモダンな駅だから絵にならないのか一度も映画のカットに使われたことがない。

寺男の源ちゃんが鐘を突くシーンで有名な鐘楼です。
源公と寅さんが床滑りをして御前様に叱られる渡り廊下
子供らを引き連れて忍び込み団子を盗んだ本堂です。
よい歳をした大人がよくやるもんだ。

この寺の正式名称は日蓮宗の柴又帝釈天題経寺といいます。
創建は寛永6年(1629)だから徳川幕府初期の頃です。
祀られている仏様は帝釈天ですが、さて仏様にも序列というかランクがあるのはご存知か。
【山爺の一言メモ】

仏様は大別では、如来・菩薩・明王・天部

の4種類、そのほか羅漢という仏様の弟子にあたる名称があります。

如来とは真理を悟った者でこれが序列の最高位、大日如来なんかがそうです。次が菩薩、これは悟りを目指す者、弥勒菩薩なんかはまだ修業中の身なんですなあ。そういえば大日如来の左右に月光・日光菩薩がいるわ・・納得。浅草観音さまは菩薩だからこのランクに入るのかな?

次が明王、不動明王や愛染明王がそれで如来の教えに従わない者を厳しく説き伏せるんだそうです。検事総長か文部大臣てとこ?(^^♪。 

そして天部は仏界に煩悩が入り込むのを防いだり悟りを開こうと修行する者を仏敵から守ったりする役目を担うんだそうです。さしずめ防衛大臣か警察庁長官ってとこかな。

帝釈天は仏様でも最下位のランクだったんですねえ。こんなこと書くと帝釈天やお不動様から苦情が来るかな。山爺の好きな興福寺の阿修羅はどこに入るのか調べたらかつてはお釈迦様に逆らって帝釈天とも争った経緯があるがお釈迦様に諭されて反省、天部に序列しています。

別な考えとしてこれらの仏様たちに序列はなく同列でそれぞれ役目が違うだけと諭す法話もあるようですが、どこの世界にも序列は必ず起きるはずで、あったほうが自然だし面白い。

羅漢なんか仏様じゃなく弟子だから寄居の500羅漢は拝んでもご利益は薄いのかな?。

では先日お参りした西新井大師の大師とはいったい?・・調べたら①仏・菩薩の総称②朝廷から高僧に送られる(主に死後)称号とありました。人間(僧侶)の尊称だったんですねえ。・・・ためになったねえ。

寅さんミュージアムに入ってみましょう。一般入場料は¥500ですが65歳以上のシニアは¥400、身分証の掲示は不要?自動販売機で選択します。もちろん山爺は¥400



くるまやの内部が再現されています。

寅さんが殊勝にも電話番、でも居眠りしてて役立たずです。




くるまやのおいちゃん。おばちゃん、さくらがお店の中でくつろいでいるとひょっこり寅さんが帰ってくる。お馴染みの眺め。

映画ではたいてい右手の帝釈天の方向からただいまと言いながら入ってくる。

左から帰ってくるときは飲まず食わずでフラフラとか、駅前で倒れ戸板に乗って運ばれたり、他人の赤ん坊背負っていたり・・寅にとって異常事態の時だけです。筋書きにより入ってくる方向をちゃんと区分している山田監督、さすがです。

それじゃそろそろお開きとして、お休みなさい。と言い残し2階に上がって行くときに必ず、コケてしくじる寅さんの名場面がこの階段で何度も演じられました。




タコ社長が経営する朝日印刷所も裏庭越しに再現してます。

PC全盛の今の世です。中小企業の朝日印刷はとうの昔に時代に乗り遅れ倒産したんでしょうねえ。





寅さんのカバンの中身、いつも気になってました。あの大きなカバンの中に何が入っているんだろう。

ハサミやら目覚ましといった日用品、うちわ、はては蚊取り線香まで。時刻表も持ち歩いているようです。寅さん時刻表読めるのかなあ。読んでいるシーン見たことないです。

さて、お馴染みの江戸川の土手を歩いてみよう。

この土手で子供らとトンボとり、ダンボールそり、昼寝などの名シーンが撮影されました。

ただ、今持って理解できないのがマドンナやその関係者らをこの土手から見送るシーンが多々ありましたがなぜくるまやから遠回りして駅に向かうのか?山田監督教えて~。


第2作で東野英治郎演じる寅さんの中学校恩師の我がまま『江戸川の天然うなぎが喰いたい』との要望を果たすべく寅と源ちゃんが釣り糸を垂れた金町浄水場の取水塔です。

絵になりますねえ。こういう場所をカットに使う山田監督、すばらしい。


諏訪ひろし、さくらが住んでいそうな家並みを見つけました。満男のバイクが今にも出てきそう。




さて、柴又駅に戻ってきました。
何度もさくらと寅さんの別れの名場面が演じられたホームですが今は観光地となったせいかホームの幅も随分広くなってしまいました。

おいら、旅に出るぜぃ。・・・山爺も言ってみたいなあ。



期待せずに出かけた葛飾柴又界隈でしたが、こんなミニトリップもたまにはいいもんです。

【川柳】

・寅さんは いいなで終わる 凡俗人

・旅行なら 誰もが成すが 旅難し

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