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2019年3月25日月曜日

飯能 大高山・天覚山トレッキング

古人曰く、”暑さ寒さも彼岸まで”とはよく言ったもんで肌寒い季節もようやく終りを迎え日差しが暖かくなってきた。こうなると足がむずむずしてきて家にじっとしていられなくなる。さて今年最初の山はどこに行こうか。

タイトルのトレッキングって何?といぶかる諸兄姉も多いでしょう。山爺的には次のように考えています。

【山爺の独り言】・・・あくまで山爺個人の考えです。ご意見無用。

①ハイキング
山に限らず野原、河川、市街地、史跡などを歩きながら鑑賞すること。3~4時間の散歩。
②トレッキング
山や山麓を歩き回りながら(高度差が必要)景色を眺め野鳥や高山植物を鑑賞。山飯作ったりコーヒー沸かして味わったり山の生活を楽しむこと。5~8時間の山歩き
③登山
主に1500m以上の山を目指し、最終目的は山頂にたどり着くこと。危険も伴うので慎重な行動が要求される。山中に宿泊し連日8~10時間のハードな行動もある。

そしてそこに最近、トレイルランニングという山を走り回る厄介な種族が割り込んできました。

④トレイルランニング
トレイルとは未舗装道路のことを指すらしい。未舗装道、すなわち野山を歩くのではなく駆け抜けるスポーツだ。このグループが②のトレッキング領域に割り込んできている。

かたや静寂のなかで小鳥のさえずりや風の音に耳をすませながら歩いているのにその静寂をやぶりドタバタと無粋な音を響かせ形ばかりの小さいザックを背負い山の中を駆け回る人々。

万一に備え山歩きの面々は雨具やら着替えやら防寒具やらを用意して重いザックを背負っているのに彼らはぺったんこの小さなザック(と言えない代物も)を背負っただけで駆け抜ける。遭難対策もへちまもない。これでは重い荷物背負っているのが馬鹿みたいに見える。本当にやんなっちゃう、トレッカーの天敵です。



西武秩父線の秩父駅から飯能にかけては駅そばに登山口がある交通至便の山が沢山ある。

以前から目をつけて調べていた大高山・天覚山もそのなかの一つだ。

この沿線は大企業の西武鉄道さんがHPで多くの山を紹介しているが、この山に関しては人気がないのかあまり見たことがない。

地図を見ると鉄道沿いに一直線に尾根道が伸びており途中に無粋な車道が山頂付近まで延びていない。このへんでは車道に犯されていない奇跡に近い山々で静かな山旅が期待できそうだ。



後で分かった事だが、この辺一体は飯能アルプスと呼ばれ正丸峠から伊豆ヶ岳、子の権現、そして大高山・天覚山を経て飯能市にある多峯主山・天覧山まで延々続く、知る人ぞ知る有名な山でもあったようです。

山爺が秩父方面の山を好む理由の一つに秩父鉄道が発売している格安チケットがあるからだ。
土日祝日限定販売だが秩父線全線乗り降り自由なフリー切符が1440で提供してくれている。

始発の羽生駅(山爺が利用)から三峰口まで通常は往復¥2100だから差額は¥660、お昼代が浮いてしまいます。

パスモ、スイカとは無縁(なんと秩父鉄道は全線自動改札がないのであります)の秩父鉄道さんならではのサービスで、誠にありがたいことです。今回も羽生駅から御花畑駅まで利用させてもらいましたが¥500も割安でした。



羽生駅7時27分発の電車に乗りました。日曜だというのに車内はがらがら人影がまばらです。空いているのも秩父の山の魅力です。って、秩父鉄道さん御免なさい。m(_ _)m

寄居駅で東京方面?からのハイカー達が沢山乗り込んできましたが和銅黒谷駅で皆んな降りてしまいました。美の山に行くのでしょう。



秩父駅から1駅先の小さな御花畑駅で下車し歩いて5分のところにある西武秩父駅に向かいます。

駅を降りたらすぐ左の路地をすり抜けて通りに出たら左折、踏切が2つ見えますが右側を選んで渡ります。






渡りきると右側に”西武秩父駅”の案内板があるのでそこを道なりに進みます。御花畑駅を9時18分に下車、西武秩父駅発9時28分に乗るつもりなので乗り換え時間は10分しかありません。

のんびり歩いているわけにはいかないのですが。前方に高齢?パーティの群れが道をふさぎ、おしゃべりしながらのんびりと歩いています。(右画像)これらが邪魔で前に出られません。え!10分あれば乗り換え十分だろうって?山爺はおションがしたいのです。ようやく間をすり抜けて西武秩父駅の前に出ました。



西武秩父駅はさすが大資本、秩父線とは大違い。立派な駅構えです。
用便も済ませて目的の電車に乗り込んで発車待ちをしていると件の高齢?パーテイご一行が発車間際だというのにのんびりとホームを歩いています。いやあ山爺がせっかちなのか彼らが鈍すぎるのかどちらなんですかねえ。





吾野駅に9時54分到着です。秩父方面からくる登山者は誰もいません。下車したのは山爺のみ。

身支度を整えて10時10分いよいよ今年初の登山開始です。果たして無事歩けるのだろうか?一抹の不安がよぎりますが、まあ、ダメなら途中で引き返すさ。





引き返すのに相談相手は不要(って、誰もいないか!)これが単独行動の強みです 。登山道は駅の反対側にあります。







駅を出たらすぐ左へ、吾野湧水の看板を見つけたらしばらくそれに沿って左に歩くと前方にお寺が見えます。





その手前に小さなガードレールがあり右に降りる道があるのでそこを降りると地下道があり反対側に出られます。

ここを見逃すと大回りを強いられますから見落とさないことです。






吾野湧水がありました。”水質検査はOKですが飲むのは自己責任で”と言った意味合いの物騒なことが書いてありますが飲んでみました。『うん、これはうまい』まったく味がないというかクセがないというか水そのものといった感じです。これでコーヒー沸かしたらうまいだろうなあ。


湧水の反対側の坂を上ると墓地が見えてきました。明日は彼岸の入りです。お墓の清掃をしている人々がちらほら見えました。

登山道はお墓の左側にあり道標があります。奥多摩と違いすべて小さな道標ばかりです。




 いきなり結構、急な登りです。うえぇ~これは参るなあ。息を整えながらゆっくりと登ってゆきます。

反対側を見ると吾野駅が小さく見えてハイカーらしき人々が沢山降りているのが見えました。その数ざっと30人。


ええ~、あれ全部この山に来るのかなあ、嫌だなあ。


この心配は杞憂に終わり、大高山側には単独行動の女子一人だけでした。ほかは駅の反対側にある人気の顔振峠~越上山へ向かったようです。

この女子は山なれた様子で音もなく山爺の背後に忍び寄り、とっとと山爺を追い抜いていきました。

くノ一忍者の末裔か、あんたは?そういえば服装も黒っぽい地味な服来てましたよ。(笑)





 30分も歩くと道はやや、なだらかになりました。やれやれです。呼吸も楽になり心配した体力もなんとか持ちそうな感じです。

苦しさが抜けると、脳内麻薬が出たのか、るんるん気分になり足が前に出てきます。やはり散歩と違い山道を歩くのは何か楽しい。






1時間も歩くと尾根道らしきところに出ました。地図で確認すると、どうやら”前坂”というところらしい。ふええ~まだこんな所かいな先は長いなあ。

徳川家康の言葉を思い出します。”人の一生は重荷を負うて、遠き道を行くがごとし。” 振り返ると山爺もずいぶん重い荷物背負って今日まで頑張ってきたなあ。うん。

山爺としては徳川家康はそれほど好みではないけれど、この言葉には共感です。

【山爺の一言メモ】

徳川家康の座右の銘
人の一生は重荷を負うて、遠き道を行くがごとし。
急ぐべからず。不自由を、常と思えば不足なし。
心に望みおこらば、困窮したる時を思い出すべし
堪忍は、無事のいしずえ 怒りは敵と思え
勝つことばかりを知って、負くることを知らざれば、
害、其の身に到る。己を責めて、人を責めるな
及ばざるは、過ぎたるに優れり

慶長八年正月十五日
山爺なんか負けることばかりで勝ち知らずだもんね。今にして思うとそれが幸いだったのかな?( ^ω^)


前坂から道を左に取って大高山を目指します。



と反対側から2人組の男子パーティーが降りてきました。

さらに後ろから単独の男子が一人上がってきて当然ながら山爺を追い抜いてゆきます。この山は家族向けではないのかなあ?家族連れに出くわさないし年齢層が今のところ比較的若い。

一旦林道を横切って再び山道に入ります。
杉木立から木漏れ日が差してきました。心配していた天気も大丈夫そう。

静寂な山道を歩いていると突如、後方よりドタバタと靴の音が響いてきます。きた、きた、トレラン族のお出ましです。
お互いお愛想で挨拶は交わしますが慌ただしく山道を駆け抜けてゆきました。ぜいぜい言いながら慌ただしく山ん中を駆け抜けてなにが楽しいんだろう。山爺には理解の外です。


ご神木とちいさな札がかかっている木にで出くわしました。ブナの木かな?なかなか貫禄のあるお姿をしております。

トレラン族どもはこんな物には目もくれず走り抜けて行くんだろうな。罰当たりめ。

と、前方に崖が現れました。おお、山らしくなってきたではないか。と、またもやトレラン族が崖の方から降りてきます。
なあんだ、崖は歩くのか、根性だして走り抜けて見せい!!。


 12時ちょっと過ぎに大高山に到着しました。ちいさな標識だけの地味な山頂です。展望も西側だけで東側は木々に遮られてなにも見えません。



ここで昼食休憩を採ることにします。

定番のおにぎりをぱくつきサンドイッチにコーヒーを沸かして飲みながらまったりします。

食事中またもやトレラン族が一人到着です。立ったままチューブ越しに水分補給(水筒からホースが口まで繋がった状態)しながら腕時計を見ています。時間にして30秒くらいでしょうか、慌ただしく吾野駅方面に去って行きました。『ああぁ~いやだいやだ、・・・森川信の声色で(古い!)』風景を眺めるでもなく、なんと余裕のない。かけっこならこんな山の中に来なくても街のなかでいくらでも出来るではないか。

山頂でコーヒーすすりながら30分ものんびりしてしまいました。もっとのんびりしたいけれど気温10度ではさすがに体が冷えて堪りません。
しまいに日が暮れちやうので天覚山に向けていざ出発。
すぐに大きな岩に出くわしました。地図に地名が記載してある大岩です。道標の矢印を見ると右側はプロのみの表記がしてあります。山爺は素直に左の道を取りましたがこんな挑発的な表記は逆効果では?『俺はプロだ。当然右!』と自信過剰に反応し転落、こうなっちゃうんでは。右は崖コース。左、一般道と書くのが常道なのでは?観光協会さんいかがなもんでしょう。

尾根道をトボトボ歩きますが、この尾根、やたら小ピークが多い。何度も迂回路とピーク越えの二股に出くわし選択に悩む。

はっきり迂回路と表示してあればそちらを選ぶのだがリボンのみがぶら下がっているだ

けでなにも表記していない箇所が何度もあった。ひどいところでは両方にリボンがぶら下がっている。


無難なピーク越えを選ぶと再び同じ道に合流し無駄な負荷を強いられる。じゃあ、迂回路と思い、そちらを選ぶと、どんどん下に降りていってしまい(里に降りる枝道だった?)慌てて元に戻り無駄な行動させられたり。どうなっているんだこの山は?

どうやらこの山は一般向けではないとみえ道標が貧弱で随所で判断に迷います。まあ、それが面白いといえば面白い。


ピーク越えたり迂回路回ったりしながらようやく15時、天覚山にたどり着きました。

天気予報では午後から崩れるとあったがなんとか持ちこたえています。手持ちの怪しい高度計を見ると443mを指している。ここの標高は445mだから誤差2m、やるではないか made in china


大高山よりこちらの天覚山の方が断然眺望が良いです。西に丹沢の大山らしきものが望めました。東側は飯能の市街地がそして大宮の高層ビル群、はては都内のビル群らしきものも・・・で、またもやお湯沸しながコーヒーブレイクです。

最近手に入れた超ミニMPプレーヤーで小椋佳のミュージックをBGMにコーヒーをすすります。山爺至福の時です。

15時を回ったというのにのんびりと景色を眺めBGMまでかけてしまう。こんな奴は絶対に山の会から放り出されるに違いありません。

さて、そうはいうものの、これではいつになっても先へ進めません。15時20分重い腰をようやく上げて下山するとしようか。

『うん?下山道は?』道標には東峠・久須美坂に至ると書いてある。いやいや、そこ経由では駅まであと3時間もかかり文字通り日が暮れてしまう。

吾野駅は今来た道を一旦戻り枝道を左に折れるようだ。(たぶんこのまま東峠方面に下山してもすぐに枝道があったと思うが未確認)



神社があったとされる広場に出た。広さが半端ではない。昔は随分大きな神社があったんだろうなあ。今は神社の面影もなく石段が残るのみだ。広場の左端に吾野駅に通じる下山道があった。

下山には尾根コースと沢コースの二通りがあるようだ。夏なら涼しい沢コースだが今日は寒いので躊躇なく尾根コースを選んで下山開始。

下山道ものっけから急坂である。もう登山者にすれ違うこともなくなった。山中は山爺1人に違いない。転んで動けなくなったら大ごとだ、慎重に足を繰り出して下山を続ける。


急だが、つづら折れの道なので歩きやすいのが救いである。快調にどんどん高度を下げて行く。

随分下ったところで急に展望が開けた。おお、随分降りてきたもんだ。もうすぐ降りられそうかな。ここで油断は禁物、膝を踏ん張りストックで足場確保しながら慎重に下山を続ける。
 ついに広い林道が見えてきました。ここまでくればもう安心です。

万一転んだってどうってことありません。5分も進むと人家が見えました。






 早咲きの桜かな?そういえば今回は山中で花らしい花に出会えませんでした。今日初めて花らしい花を見ました。

よその家の梅の木が満開でした。
線路が現れたので踏切を渡れば東吾野駅はもうそこです。

16時20分東吾野駅到着。16時40分の西武秩父駅行にて帰宅の途へ。

鈍った体のままの今年の初登山、体が耐えられるか心配でしたがなんとか6時間の行動に耐えることが出来ました。めでたしめでたし。

今日出会った人々は登山が6組くらいで家族連れは皆無、トレラン族が7人くらいでトレラン族が登山者を上回っておりました。悲しいことです。

【狂歌・川柳】

・静寂を 破る無粋な 山駆けマン 山の楽しみ 何処にあらん
・山も見で、トレラン感動 いずこにや
山頂に到着するや息弾ませながらチューブで水を飲み時計を見る。そしてあっと言う間に立ち去っていった。なにが楽しいのだろう。

・くノ一に 負けない仕草で 忍び寄る、そなた忍者の 末裔か
音もなくいきなり背後に現れた黒ずくめの女子。びっくりしたなあ、もう。


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