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2024年6月21日金曜日

紫陽花とシュールな羅漢さん(柿生の浄慶寺を訪ねてみた)

 去年の秋にPCでSNSを読みあさっていた時に右画像のような面白い五百羅漢の画像を見つけた。



なんなんだ、この坊さん達は・・PCを操作している者や腕相撲している者、果ては酒徳利ぶら下げて酒飲んでいる奴、およそ修行僧には似つかわしくないシュールな所作の羅漢さん達が所狭しと鎮座している。



その表情がまたユーモラスなので思わず見入ってしまった。

どこにあるのだろう、この寺は・・と調べてみたら東京の南西域、百合ケ丘の先にある柿生(かきお)というところにあるようだ。

正式名称は浄土宗のお寺で麻生山寿光院浄慶寺と呼びます。
創建は安土桃山時代の1584年とも江戸時代の1621年とも言われているようです。

神仏混合の名残か境内には秋葉大権現も併設されているようです。

百合ケ丘なら近いなあ。すぐに行ってみようと思ったが、ここ浄慶寺は紫陽花の名所としても知られているようだ。ならば撮影の好機は梅雨時の6月か。

とうわけで出かけるのを半年間我慢、紫陽花の咲く今( 6/15)ようやく訪問することとした。

北千住で千代田線に乗り換え、代々木上原駅で小田急線の急行に乗り換える。このルートは登山で丹沢に行くときによく利用するので勝手は先刻承知之介。

急行で新百合ケ丘駅まで進出、ここで下車し各駅停車に乗り換えると1駅目が柿生駅だ。

お寺までの道順はGooglemapで検索済み・・10分も歩けば行けるようだ。




柿生駅は私鉄沿線を絵に書いたような小さな駅だ。駅前を出てすぐに右折して道なりに進むとやがて下り坂に・・

左手にこんもりした茂みが見えれば浄慶寺はまもなくだ。ここまで普通に歩いて約10分。Googlemapの指示通りだった。




坂を上がるとすぐに紫陽花に囲まれた浄慶寺の案内板がありました。

何やらウンチクのあることが書いてあります。
浄土宗 浄慶寺 
花あるくらし 家庭に敬愛と和楽の花を咲かせよう と説法が書いてあります。

敬愛は分かるが和楽とはなんだろう。和楽って何となく分かるが説明せいと言われると自信がない。・・日光和楽踊り・・そうじゃあないだろう。

改めて辞書引くと和楽とは互いに打ち解け楽しむこととありました、なるほど、家族とはかくあるべきなんでしょうなあ。

さらに坂道を登って行くとやがて山門にたどり着きました。傍らに石仏が、やあ羅漢さんだ。ん!!何しているのだ、この羅漢さんは?。ミシン掛けだ・・笑える。
しかも丁寧にマスクまでしている。コロナが流行りだした以降に設置された羅漢さんに違いない。笑えるなあ。





さて、羅漢とは一体に何者なのか皆さんご存知か?

【山爺の一言メモ】

羅漢・・阿羅漢の略 

簡単にいうとお釈迦様の弟子で悟りという最高の境地に達した者達の名称で上位の順に
・十大弟子・・最も優れた10人の弟子で釈迦の身の回りの世話を任された
・十六羅漢・・釈迦から仏教を守り伝えるよう頼まれた16人
・五百羅漢・・その他大勢の弟子達
の三通りある。

つまり羅漢さんは大日如来や菩薩・観音といった仏様ではなくお釈迦さまの弟子のことで人間です。数ある中(500人もいた)には落ちこぼれも居たに違いない。ここ浄慶寺はそんな落ちこぼれの羅漢さんが沢山いるので見ものです。

境内の案内図です。境内は寺の本堂と小高いところに火伏せの神様の秋葉大権現、この2つの建物しかありません。寺院の規模としては小さいですね。





案内板の下に道祖神のような石仏と注射をする者とされる者の模様を描いた羅漢像があります。




注射の様子からこれもコロナが流行っていた頃に造られた石像でしょうか。




案内板の反対側には可愛らしいお地蔵さん達が合唱しています。



その先をみると、いるいる羅漢さん達がずらりとお出迎え。これは楽しみだ。


紫陽花の下で酒盛りしている羅漢さん・・実に楽しそうに酒酌み交わしている。落ちこぼれ弟子に違いない。
頭に両手を載せて悩み事でもあるのか冴えない表情の羅漢さん。

顔つきからすると小坊主さんかな?幼い頃より悩み事を抱えるとは偉いですね。






こちらはすでに出来上がっているお二人のようでおどけて踊っているしょうもない人達です。

小坊主を見習いなさい。
紫陽花の下で泰然自若、ぐびり・ぐびりと独りで酒を飲んでいるマイペースな羅漢さん、なかなかです。








これは将棋の最中、『待った』 『待ったなしだよ』という声が聞こえそう。

よく出来てますねえ。石工さんの腕前、かなりのものです。

真ん中で見学している人?? よく見ると居眠りしています。
こちらは腕相撲の最中です。

そんなに力持て余しているのなら修行でもせい、と言いたくなるくらい雰囲気が出ています。






中には真面目に経典を読んでいる者も、横の者に経典を持たせている所を見ると先輩羅漢でしょうか。

後輩どもの生臭ぶりに活を入れるべく先輩は範をたれねばならない。先輩は辛いねえ。
遊びたいのに付き合わされた後輩羅漢の渋い顔がまたいいですなあ。
こちらはぷかりぷかりと煙草をくゆらせています。
何の悩みもなし・・平和そのものです。
茂みでは何やらひそひそ話の最中。
『・・・という訳だよ』
『うん、うん、そうだったのか』







いました、いました、木陰の下でパソコンを操作する羅漢さん。山爺が一番見たかった石像です。

パソコン勉強中なら偉いが怪しいサイトを見ているのかもしれないなあ。

表情が考え中だからやはりパソコンの勉強中と思いたい。


これはまた、何という羅漢さんだろう。王貞治を模したもの?

苔が付いていないので最近の創作かなあ。もしかして大谷翔平を模したものかも??












スポーツマンの次は芸術です。絵の修行に励んでいる羅漢さんがいました。

筆で輪郭の確認中・・笑えるなあ。







食道楽の3人衆です。

蕎麦をたぐり
団子を頬張り
仕上げはコーヒー

何とも下世話な生活ぶりですねえ。

お釈迦様のため息が聞こえそうだわ。







メガネをかけインテリ然とした羅漢さんがレコード鑑賞してます。

知的な風貌からするとクラシックファンかな?

ところが抱えているジャケットをよく見ると名曲あじさいと書いてあります。

まさか、アリスの紫陽花の歌じゃあないだろうねえ。

読書にいそしむ羅漢さん・・って寝てるじゃあないですか。こら~寝るな!!












教典読むのをすっぽかして電話中・・・









紫陽花に見惚れる羅漢さん。修行はそっちのけ・・酒呑んでないだけましですなあ。








何処も同じで懸命に働いているのは立場の弱い者ばかり。

小坊主さんが一生懸命に雑巾がけしてます。

ここ浄慶寺の石像群で前向きに生活していたのはこの小坊主さんと経典を読み上げていた先輩?羅漢の2人のみでした。


あとは俗世間にまみれた俗人そのものを表した石像ばかりで説法的な石像はひとつもありません。

仏様が静かに見守っているにはいますがこのお寺では一体何を主張しようとしているのでしょうか。人生は一度きりクソ真面目に生きるも、楽しく生きるも・・どちらを選ぶかはあなた次第ですとでも言っているようです。

浄慶寺の全景です。

今日現在(6/15)境内一面に紫陽花が咲き誇っています。よく見ると少し枯れ始めている花もありました。先週が見頃だったのかも。





お寺に紫陽花は良く似合います。なぜなんだろう。








奥に見えるのは火伏せの神を祀る秋葉大権現です。



ここ浄慶寺は神仏混淆が残っています。小さなお寺だったゆえ明治初期の神仏分離令を免れたのでしょうか。



境内所狭しとよく手入れされた色々な紫陽花が何気なく咲いています。

何処ぞの観光寺のように順路の囲いがあるわけでもなし、入場料を取るわけでもない、自由に観覧ができました。




あなたの裁量で自由にご覧になってください。といった住職達の心意気が伝わります。

こりゃあ、お賽銭を弾まないわけには行きません。





羅漢さん達のユーモラスなお姿やよく手入れされた紫陽花の花。久しぶりに良い気分にさせていただいたお寺さんでした。

それにしてもあの石像の所作は誰が考えて誰が造っているのだろうか。気になるなあ。




【川柳】
・肩張らず 和楽に生きよと 浄慶寺
・浄慶の 羅漢が悟す 和楽ぶり
・つまらない 世も面白くと 羅漢たち

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